前回の続きの記事になります。
前回のまとめ
SP500を買う場合
1. 一括購入
2. 下がったら買い増す
の2パターンを考え、1996/1~2005/12の各月から15年間を1期間として計120期間で戦わせたところ、
9.5%下がったら買う方法が一括購入よりわずかに上回りました。(61vs59)
そこで、今回は買った期間のスタート地点を可視化することで、どのようなタイミングで、上記1,2どちらの手法を選べばよいか調べていきたいと思います。
期間ごとの勝敗グラフ

上記図が結果になります。
薄い青のジグザグしているグラフが各日付のSP500の値段になっており、
青のドットが、その地点から15年間買う場合は一括が良かった、
赤のドットが、その地点から15年間買う場合は9.5%下がったら買い増し法が良かった
ということを表しています。
この結果を見ると明らかですが、
そろそろ下がるor下がっているときにINする場合は、買い増し法が良いことがわかります。
一方で、下げ直後で完全に戻していなくても、
上がり基調であれば一括が良い
ことがわかります。
一括vs買い増しのリターン分布
次に、一括投資と買い増し投資の120期間の分布を見てみましょう。

15年の投資の結果が横軸で、スタート地点では1万ドルもってますので、マイナスの期間はありません。
縦軸がそのリターンの合計期間数になります。
青が一括投資で、赤が買い増し投資になります。
平均値としては、一括投資が20229, 買い増し投資法が19645と一括投資が3%ほど上回っています。
まず、最低リターンを取るのは明らかに赤の買い増し投資法が多いです。
これは上り基調の時に9.5%下がるのを待つ必要があるため、機会損失してしまうからですね。
最高値付近である3万ドルまで行くのは青が多いです。上り基調であれば、一括投資のほうが最高成績が良くなります。
全体の分散としては、買い増しより一括のほうが大きくなっており、買い増しは15000と27500あたりに2つの山があるので、平均20000から離れた値を取る可能性も高くなっています。
ここで統計的情報をまとめると以下のようになります。
一括投資 | 買い増し投資 | |
---|---|---|
平均 | 20229 | 19645 |
分散 | 31145195 | 2697755 |
中央値 | 18838 | 19372 |
大きいほうの値を赤で記しています。
なんと中央値では買い増し投資のほうが良いですね。
一括は底で買えれば間違いなくリターンはでかく、今回のように120期間も調査をするとほぼほぼ底が取れるので(2003年付近)、平均は高いですが、中央値は買い増し投資のほうが良くなっております。
まとめ
120期間中の勝敗数は61vs59で買い増し投資の勝ち、
平均値としては、一括投資法の勝ち、
しかし、中央値としては買い増し投資の勝ち
という結果になりました。
今回の結果を踏まえると、個人的には9.5%下がったら買う買い増し法が良いのではないかと考えます。
なぜかというと、1カ月おきに開始地点を変えると、底で一括投資をすることができるため、平均値としては一括投資の良さが目立ちますが、中央値では買い増し投資のほうが成績が良くなっているためです。
そろそろ下がるかもor下がっているときに買い始めたとしても一括投資法に勝てるというデータや安心感はかなり大きいものだと思います。
ただ、当然完全な方法ではなく、切り取った期間によるところが大きいです。
例えばSP500の推移を再掲すると

このようになっており、今回調査対象期間とした1996-2005年は、ITバブル崩壊・リーマンショックを含み、大きな上り基調ではありませんでした。
しかに、2010年以降は大きな上り基調となっており、このような期間であれば一括投資法のほうが成績が良くなるでしょう。
ただ、今回の期間である1996-2005での結論としては、個人的には
9.5%下がったら購入する買い増し投資
の勝ちだと考えます。
以上、4回にわたり、長い間お付き合いいただきありがとうございました。
SP500の一括or下がったら買い増す編はこれで終わりになります。
コメント